◎公立高校入試過去問を抜粋した市販問題集
中学3年になると、学校の勉強だけではなく高校入試を意識した勉強を開始しなければなりません。
基本が大事なのは当然ですが、一問一答式や短い問題文の基礎問題集だけを解いていては公立高校入試には対応できません。
公立高校本番の得点を伸ばすためには公立高校入試の過去問を使用している問題集を使用して学習するのが最も効率的な勉強法なのです。
過去問と言っても基礎問題~応用問題まで設問レベルは様々で、同じ公立高校入試過去問を抜粋した問題集であっても、目標とする偏差値や自分の学力レベルにあった問題集を選ぶ必要があり、その特徴と合わせていくつか個人的おススメランキング形式でご紹介させていただきます。
※2022年3月記事内容アップデート
1位 全国高校入試正解&分野別過去問
おススメ教科:5教科(特に社会・理科)
※志望校偏差値65~75
一番有効な問題集はまちがいなく、全国高校入試正解・および分野別過去問です。
通称TEL帳。(理由は分厚いから)
この問題集の公立過去問掲載量は圧倒的です。
前年度の全国47都道府県の公立過去問をまるごと掲載。
傾向の分析と対応力を鍛えるのにこれ以上の問題集がないのは間違いありません。
常に最新年度版が発売されるため、入試問題のトレンドも確認できます。
ただ、逆に言えば問題数が多すぎる。
分厚さによるプレッシャーが半端ない。
そして、字が小さい(問題がびっしり)。
さらに、解答がちょっとあっさりしてる。
・・等など少なからず難点もあります。
したがって、偏差値60未満の生徒にはなかなか使いこなすのが難しいもしれませんが、この問題集を全てやり通した時には、実力・自信・問題対応力全てが身についているはずです。
特に社会・理科と分野別の数学(図形)は効果絶大。
2位 完全攻略(中1・2総復習・3年間の総仕上げ)
おススメ教科:5教科(中1・2の総復習)、英文法(1~3年)
※志望校偏差値50~60
このブログでもたびたび登場する『完全攻略』シリーズ。
本格受験勉強前の準備期間(中3春休みや中3夏休み)に、全体を一通り復習するという学習に最も適したシリーズです。
※2022-3月 新学習指導要領対応版発売
1ページに各単元ごとの要点がカラー紙面でまとまっており、基本問題の後に続く実践問題というカテゴリーは、ほぼ全て公立入試過去問で構成されています。
実践問題と言っても難問は少なく、標準問題中心で、なにから受験勉強初めていいかわからないという生徒は、まずこのシリーズをしっかり学習するのがいいと思います。
各単元、基本問題から始まっているので、レベルに関係なく全体を復習することができ、基礎固めにはピッタリです。
全問ではありませんが、過去受験生の正答率情報も載っているので、難易度の目安もつきやすく自分がどの程度のレベルの問題なら解けるのかも把握できるでしょう。
特に3年生春休みの5教科の1,2年の総復習として購入するなら正直これ一択かもしれません。
他の1,2年総復習と銘打ってる問題集は、問題数少なすぎ&簡単すぎだからです。
3年間の総仕上げも単元ごとにまとまっているので、1,2年復習や3年の1学期まで等、どんな時期の復習にも対応してくれるでしょう。
2学期以降の過去問演習前に、英文法の基礎復習が必要だと感じているなら、英文法(1~3年)の使い勝手がよいです。
ちなみに同率2位扱いとして高校入試 中1・2の総復習(シグマベスト)シリーズというものが2022年3月より販売(新学習指導要領対応)しております。
こちらも3年の春休み~夏休みにやる基礎固め確認としては良い問題集だと思います。
内容は完全攻略1.2年復習とほぼ同じ、問題レベルも似ており、正答率等も摘便掲載されており、違いとしてはフルカラーではなく落ち着いた紙面の雰囲気というだけでしょうか。分量的にも大差ないので、見比べた上でお好みのほうでいいと思います。
3位 高校入試「解き方」が身に付く問題集
おススメ教科:数学・理科
※志望校偏差値60~70
解法を覚える問題集というちょっと変わったテーマの『解き方が身に付く問題集』シリーズはピンポイントで弱点を克服するのに適した問題集です。
一応5教科揃って出版されていますが、私が特に有効だと考えるのは『数学と理科』の2教科。
例題を利用して、出題パターンがかなり細かく分類されており、『解法やコツ』も親切&細かく記載されているので、公立入試数学の『関数とグラフ』や『平面・空間図形』などで得点力が足りないと感じている受験生には是非一度やってみてほしい問題集です。
ちなみに問題のレベルは標準~応用となっていますが、正答率一桁台の難問も結構掲載されており、どちらかといえば応用問題中心です。
基礎力が足りない場合はまずは他の基礎問題集などをやりましょう。
理科についても、計算問題を中心とした、いかにも苦手な生徒が多そうな出題テーマが多数記載されており、ポイントを絞った弱点克服に役立つはずです。
また、社会地理の地図問題や気温・雨量などのポイントも理解しやすかったです。
数学の基礎計算問題や理科の語句問題などは載っていないので、ある程度基礎のできている偏差値55~60前後の受験生が2学期後半~冬休み期間に使用するのが最も効果的でしょう。
塾に通っていない受験生には非常に有効な問題集です。
4位 受験生の50%以下しか解けない差がつく入試問題
おススメ教科:数学・英語(特に50%以下)
※志望校偏差値45~55(50%以上)
※志望校偏差値60~70(50%以下)
次は、特徴的なタイトルが目を引く『50%以下・以上』シリーズです。
このシリーズは例題に続いて簡易的な解き方の要点、そして公立過去問が1単元につき2ページ4,5問づつ程度掲載されています。
過去受験生の正答率が全問記載されているので、自分が正解しなければならないレベル問題の判別がしやすく、モチベーションアップにもつながるでしょう。
『50%以上』は文字通り、正答率90%台の超基礎問題から正答率60%程度の基礎~標準が抜粋してあります。
悪い点は問題数の少なさですが、裏を返せば冊子が非常に薄く、心理的ハードルはかなり低いはず。
他の入試問題集よりも『一次関数の応用問題』など、単元が比較的細かく分かれているので、まだやる気が出ていないお子さんや、現在偏差値が50以下のお子さんなら、この『50%以上』から受験勉強始めるのもアリですね。
基礎問題でサクサク進むので、しっかり1冊やり通せば自信にもつながるはずです。
逆に『50%以下』は、公立過去問の中でも難問と思われる低い正答率の問題を集めた貴重な問題集。
正答率10%前後の問題も多く載っているので、相当歯ごたえがあります。
偏差値65以上の公立高校狙いだけど、TEL帳までやり切る時間や自信がない受験生にとっては、非常にありがたい存在です。
難問の出題が少ない公立高校過去問問題集の中では異質な存在ですが、レベルの異なる過去問が2冊に分かれていることで、使う受験生によって様々な使用法に対応でき、非常に使い勝手が良い問題集です。
5位 高校入試パターン別攻略
おススメ教科:英語・数学・理科
※志望校偏差値55~65
心理的ハードルが低い問題集の薄さ(笑)という意味では、こちらの『パターン別』シリーズもおススメです。
正答率は載っておりませんが、例題につづき抑えるべき解法ポイントがなかなか実践的で、問題レベルも基礎というよりは中程度の標準問題が多く掲載されております。
当然この問題集も全て公立高校過去問ですが、5教科ではなく英数理の3教科しかありません。
やたらめったら5教科出すよりは好感持てます(笑)
英語の英作文や理科の計算問題など、なかなかポイントをついた注意点まとめで、中身は(薄いわりに)非常に充実した問題集だと思います。
まあ、『解き方が身に付くシリーズ』と似たコンセプトですが、それほど親切に解説しているわけではなく、例題+シンプルな注意点とコツが載っているだけなので、これだけで様々な出題パターンに対応する理解が深まるというタイプの問題集ではありませんが、受験後半の最終確認問題集として便利です。
6位 きちんとこれだけ公立高校入試対策問題集
おススメ教科:英語・数学・国語
※志望校偏差値50~60
名前そのまんまの『 きちんとこれだけ公立高校入試対策』シリーズも公立過去問集です。
5教科揃っているこのシリーズは公立過去問の中でも、標準難度の問題を集めた問題集で、冊子の厚みはソコソコですが中身を見ると問題数は意外と少な目なので集中して取り組めば短期間での履修も可能です。
各単元1,2ページに重要事項や基本的な解法などがまとまっており、各単元ごとに3~5ページ程度が問題エリアとして割かれています。
難問・応用問題がない反面、簡単な基礎問題も少ないのでお子さんのレベルや志望校レベルに合わせてこの問題集を使用するのも良いと思います。
全体を通して、偏差値55~60前後の公立高校を目指していて、広く浅く学習を進めたいという場合にはおススメできる問題集です。
7位 高校入試 超効率問題集
おススメ教科:数学
※志望校偏差値55~65
最後に『超効率』シリーズ、もちろん全部公立過去問です。
この問題集はページ数はある程度あるのですが、書き込み式に対応できるよう、余白が大きめにとってあるので、取り組みやすい一冊と言えるでしょう。
思考力活用問題にも気を配っており、標準~やや難程度の良い過去問をチョイスしていると思われます。
ただし、気に入らないというか個人的に使いずらい点が、名前通りに効率学習させるために出題率の高い単元から順番に掲載されているので、例えば、2次方程式→因数分解→式の計算→連立方程式→1次方程式というようにジャンル別ではありますが、復習として理解を深めたり、計画を立てたりする上で逆に超効率が悪い(笑)
問題抜粋は良いのにテーマ的に狙いすぎた感あり。
苦手な単元を潰す用として使うのがいいかもしれません。
◎過去問を制する者が受験を制す!
他にも公立過去問を使用している問題集はたくさんありますが、問題内容や紙面を比較検討した結果、個人的には以上のものをご紹介させていただきます。
公立高校の問題は教科書の範囲をもとに作られてますが、どうしても学校先生が作る定期テストや市販基礎問題集とは視点の変わった問題も出題されます。
数学で言えば、数の規則性や三平方の定理の応用問題等。
年々、記述式の解答を求める設問も増えてきており、対策が必要になります。
したがって、その入試問題の形に数多く触れて、できるだけ慣れる必要があり、それが合格への近道ではないでしょうか。
教科・単元によって基礎的な入試問題もあれば、独自問題のような応用問題もあるので、自分の地域の入試傾向も調べた上での過去問演習が必要です。
教科ごとに必要なレベルの問題集はどれか、まだ入試実践に入るほど理解が進んでいない単元は何か、お子さんの苦手・得意科目と照らし合わせて検討してみてはいかがでしょうか?
公立過去問問題集とは別な視点から選んだ各教科別のおすすめ参考書・問題集は別記事に記載されているので用途に合わせてご参照ください。
ではこのへんで(^^)/