部活・ジュニアユース(クラブチーム)のどちらを選ぶか
小学6年生のサッカー少年は、9~10月位になると『中学ではどこでサッカーをするか』の方針・セレクションを受けるチームを決めることになります。
中堅クラブ以上になってくると、セレクションに合格しなければ入団できないクラブも多くなり、小学生時代に真剣にサッカーをやってきた子供・ご家庭では選択に迷う場面もあると思います。
余計なお世話かもしれませんが、ここで3年後のお子さんの予想を立てつつ、ちょっと厳しめの目線で検証してみたいと思います。
◎学力目標をどの辺に設定(許容)するかで進路は決まる
まず、お子さんの希望を叶えてあげたいのが親御さんの正直な気持ちだと思いますが、同時にサッカーをいつまで真剣にやるのかという考えも頭にあることでしょう。
ほとんどのサッカー少年は高校卒業と同時に、それまでサッカー一色だった生活とは別れを告げます。
さて、ではその先の未来に対するイメージをどの程度親御さんが持っていますか?
このブログでもたびたび書いてますが、いくらスポーツ推薦・特待で高校進学するにしても最低限の学力が必要な場合が近年増えてきています。
いくら、子供の希望とはいえ小学生時代と同様のサッカー漬け生活を送っていると、高確率で第一志望の高校には行けなくなるでしょう。
クラブにユース(U-18)部門がある場合や、J下部組織のユースに入れる実力なら学力はほとんど問題になりませんが(大学サッカー推薦も考えるとそうも言ってられませんが)、高校サッカーに進む場合は中学1年生の段階で合格偏差値を確認しましょう。
学区内中学のサッカー部がある程度強い地域では、すんなり中学サッカー部に決めているご家庭も多いと思いますが、部活組は中学入学後の努力次第で学力はどうにでもなります。
一番やっかいなのが、中学では子供の希望通りジュニアユースに通わせるけど、高校は強豪サッカー部というよりは公立高校に進み大学進学も視野に入れている我が家のようなご家庭。
これもこのブログでしつこいくらい書いてますが、ほぼイメージ通りの学力に届かないことを覚悟していなければなりません(我が家もね・・・)。
それほど中学生でサッカーと勉強を両立できる子供は少ないのが現状なのです。
◎中学サッカーでどの程度通用する実力なのか
次にスポーツ面についてのお話しですが、ひとまず小学生時代に『どのレベルで活躍していたか』で進路を考えることになると思います。
例えば、県内でも強豪と言われるジュニアチームの主力として活躍していた選手の場合はJ下部組織以外はそれほどセレクションに困ることもないでしょう。
中堅チームの主力や地域のトレセンに通っていた選手も、選べるチームは多いはずですし、実際に県の1部2部リーグに参加しているチームを選択することが多いですよね。
さて、実際に進路に迷うのは中堅チーム以下の主力以外の選手たち(中堅チームのスタメンというだけでは実力不足)ですが、まだまだプロサッカーへの憧れをもっていたり、高校での活躍を視野に入れているお子さん・ご家庭も多いと思います。
当然、育成面(指導)は部活よりクラブのほうが数段上です。
一部の強豪(私立)中学を除き、練習環境や試合数もクラブ>部活なのは言うまでもありません。
ただし、このレベルの選手たちのうち半分程度は中学3年時点で『サッカーは公立高校でノンビリやろうと思ってる』という考えに変わっているというのが現状です。
さあ、さんざんサッカーに明け暮れ、勉強をおざなりにしてきた中学生活の果てにこのセリフを言われた時に『あら、いいんじゃない?』と言える広い心を持つ準備を(笑)
意外と厄介なケースが、小学生時代はある程度活躍していたり地域トレセンにも選ばれているけど、まだ成長期が来ずに体が他の皆より一回り小さく細い選手です。
川崎フロンターレの中村憲剛選手の体が小さかったために、中学で一度ドロップアウトした話は有名ですが、このパターンは身近なところでもたくさん見られます。
残念ながら、中学サッカーでは最低限のフィジカルがないと驚くほど通用せず、スタメンを外され、サッカーがつまらなくなって(心が折れて)辞めていく選手をたくさん見てきました。
相当なテクニックを持っていたとしても、かなり苦しい戦いになるというのを覚悟してください。
いずれにしても中学3年にもなれば、これまでの様々な戦績や実力比較によって堂々と『将来はプロサッカー選手になりたい』と言える選手はほとんどいなくなります。
◎U-12時代のサッカー実力別未来予想図(当社調べ)
あくまでも大学進学を前提とした一般的モデルケースです。
1流~3流等の偏見的な書き方をしましたが、一般的な世間の評価で、その後の成長・成功、本人にとっての価値観等はいっさい考慮しておりませんのであしからず。
県選抜主力・エリートクラス
・プロサッカー選手:1~5%
・J下部組織(U-18)→
上位大学スポーツ推薦(国公立含む):30%
・強豪高校サッカー部→
2~3流大学スポーツ推薦:50%
・強豪高校サッカー部→
3流大学普通進学:10%
・公立高校→2~3流大学普通進学:10%
県選抜・県トップクラスチーム主力
・プロサッカー選手:0~1%
・J下部組織・強豪高校サッカー部→
上位大学スポーツ推薦(国公立含む):5%
・強豪高校サッカー部→
2~3流私立大学スポーツ推薦:40%
・強豪高校サッカー部→
3流大学普通入学:40%
・公立高校→
2~3流大学普通入学:15%
・公立高校→
国公立、上位私立大普通入学:0~5%
地域トレセン・中堅チーム主力
・プロサッカー選手:0~1%
・強豪高校サッカー部→
上位大学スポーツ推薦(国公立含む):0~5%
・強豪高校サッカー部→
2~3流私立大学スポーツ推薦:10%
・強豪高校サッカー部(Bチーム)→
3流大学普通入学:50%
・公立高校→
2~3流大学普通進学:30%
・公立高校→
国公立・上位私立大普通入学:0~5%
中堅チームスタメン以下(クラブ)
・強豪高校サッカー部→
2~3流大学スポーツ推薦:0~5%
・強豪高校サッカー部(Cチーム・応援席)→
3流大学普通入学:20%
・中堅私立高校サッカー部(Bチーム)→
3流大学普通入学:50%
・公立高校→
2~3流大学普通進学:30%
・公立高校→
国公立・上位私立大普通入学:0~5%
中堅チームスタメン以下(部活)
・強豪高校サッカー部→
2~3流大学スポーツ推薦:0~5%
・強豪高校サッカー部(応援席)→
3流大学普通入学:10%
・中堅私立高校サッカー部(Bチームベンチ)→
3流大学普通入学:20%
・公立高校→
2~3流大学普通進学:60%
・公立高校→
国公立・上位私立大普通入学:5~10%
※就職・専門学校・海外挑戦は除く
※強豪高校には全国クラスの公立高校サッカー部も含む
※強豪高校には中高一貫校も含む
※異論・クレームは受け付けません
◎部活かクラブかで迷っているお子さんへ
意地悪な言い方をすれば、迷っているということはサッカーで上を目指す明確な意思はないとも取れますよね。
実際、小学生時代・中学生時代になかなか芽が出なかった選手が強豪高校でスタメンをはるまでに成長する例もそれほど珍しいことではありません。
逆にどの強豪校サッカー部のスタメンの中にも1,2名はそういう選手がいるものです。
ただ、確率論で言うとそれはわずかな可能性で、高校ではもちろんのこと中学での両立も並大抵な覚悟では成しえることはできないでしょう。
もちろんサッカーの実力と伸びしろをよく検討しなければなりませんが、もし、自分の息子が部活とジュニアユースクラブで迷っているとして、学区内の中学校でも十分サッカー部活動ができる環境が整っているなら、迷わず部活を勧めます。
ネット検索するとよく出てくる、クラブサッカーと勉強は両立できます!という情報は基本的には嘘だと思ってください。
両立して、県内トップの〇〇高校に合格した先輩がいる。両立して〇〇大学に進んだ知り合いがいる等など、人は特殊な例を誇張して覚えてしまいます。
クラブサッカーに進んだ80%の子が両立とはとても言えない状態なのが現実です。
遠征の多い県1部2部だけが飛びぬけて忙しいわけではなく、3部4部扱いのジュニアユースクラブでも必ず遠征等はあるし、土日も含め活動時間の長さは相当なものです。
たやすく本気のサッカーをあきらめろという意味ではなく、それくらい学業との両立は難しいということをよく理解してもらう必要があるということです。
そして、願わくば、強い意志を持った状態でクラブチームに挑んで欲しいというのが個人的な本音です。
どの強豪チーム、J下部組織だとしても高いレベルで両立できている選手は少数ですが必ずいるものです。やろうと思えばできるのです。
サッカーを続けるために勉強も頑張る強い意志があるかどうかだけ。
中学1年生から、5段階評価の『4』以上をキープし続けることができれば、高校進学の際、サッカーと勉強、どちらに軸足を置いたとしても選択肢は格段に増えます。
ですが、息子のクラブチームでこの学力レベルに達している選手は約20人中3人しかいません。
部活でのサッカーとクラブでのサッカーは色んな意味で全くの別物なのです。
ただ、基本的にはサッカーレベルが高い選手は学力も高い傾向があるとも思います。
※伝統的に平均学力が高いチームというものも存在します。
サッカーと勉強の二兎は結構追えるもの。
ただし、三兎(スマホ・ゲーム等)は絶対に追えません。
ではこのへんで(^^)/