スポーツに主眼を置いた中高一貫校進学での両立
サッカーや部活と勉強・高校受験との両立を目指すというのがこのブログのひとつのテーマですが、近年、特に都心部を中心に本気のスポーツ活動のための中高一貫校受験というのが主流になりつつあります。
しかし、同じ中高一貫校といっても、目的や本気度により千差万別。
実際のところ、スポーツと学力の両立をシステム的に成し得ている学校は少なく、個人の努力次第というのが現状だと思います。
◎学力を重視した中高一貫校進学
どちらかというとスポーツ面よりも学力に重点を置いた中高一貫校選択でのメリットは、独自のメソッドによる高レベルの授業体系で大学進学を見据えながら、高校受験がない=スポーツでブランクを作らなくて良いという点が大きいはずです。
このパターンの一貫校では、部活にもある程度力を入れている学校も多く、環境も一般の公立中学サッカーよりも整っている場合が多い。
ただ、スポーツ的に言えばトップレベルとは言い難い中学がほとんどで、近隣のクラブチームと互角に戦えるチームは少ないでしょう。
では、こうした一貫校とクラブチームの両立が可能かというと、学校では土曜日の授業があったり、学校のカリキュラムとクラブの予定を合わせるのが難しい、通塾が当たり前などの要素により、あまり現実的ではありません。
両立を目指すというよりは、スポーツは少しづつフェードアウトして、学力中心の生活になる場合が多いでしょうか。
スポーツとの両立を目指すのでしたら、適度な偏差値のより自由なカリキュラムを実施する一貫校を調査・検討するようにしましょう。
まあ、高校受験のブランクがなくてよいと言っても、中学受験勉強で12歳時にブランクを作っていたら本末転倒な感じもするので主眼をどこに置くかによりますね。
ただ、考え方によっては、レベルの高い学校教育でしっかり学習して、『塾』を除外することでクラブチームの活動にも集中できるというメリットも。
◎全国クラスの高校サッカー部を持つ中高一貫校
最近全国大会でも結果を出しているのは、このパターンの一貫校が増えてきていますね。
青森山田・暁星などが有名ですが、こうした強豪高校サッカー部の下部組織的な中高一貫校では、本気でプロサッカー選手を目指し越境して入学してくる生徒もたくさんいます。
スポーツ面での恵まれた環境や一貫した指導方針や指導者、実力次第では高校部門への練習参加&公式戦参加も可能という、非常に優れたスポーツ環境が期待できます。
ただ、この場合の中高一貫というのはスポーツ面を重視している選択なので、高校ではスポーツをやる前提での『特別進学科』とか『個性探求科』とか怪しい名称の学科に進学することも多く、建前上は勉強との両立をうたっていますが、実際には高い学力というのはかなり難しいでしょう。
しかも、高校進学時にも外部から優秀なスポーツ選手が入学してくるため、中学での実績やポジションはなんの保証にもならないという厳しい競争が待っています。
ただし、県外から通って寮生活を送るなど、自立した6年間を過ごすことができ、人間力形成には大きな役割を果たすはずですので、その一環として学力向上を果たせる選手も少なくないはずです。
かなりの本人の覚悟と家庭の経済力が必要ですが、現在では、J下部組織と共に本気のサッカー少年の目指す場所のひとつと言えます。
◎特殊な中高一貫・JFAアカデミー
最近のプロサッカー選手を目指すサッカー少年のひとつの道として、JFA(日本サッカー協会)主導によるJFAアカデミーという制度があります。
現在のJFAアカデミーは福島・熊本宇城・堺・今治の4校が開校されていますが、男女共通&中高一貫として機能しているのは福島の1校だけです。
JFAアカデミー TOP|JFA|公益財団法人日本サッカー協会
JFAアカデミー福島では、プロサッカー選手の育成と同時に近隣の中学・高校との連携型中高一貫教育を実施しており、基本的には高校受験はありません。
ただし、やはり高校では『国際・スポーツ科』という学科に進学することになり、本来の高いレベルの両立というわけではなく、あくまでもプロサッカー選手養成所という見方が正しいと言えます。
一般的な学業との両立は難しいですが、6年間の自立した生活、英会話やマナー講習、リーダー学などの専門の授業や、遠征・用具などの経費は全て日本サッカー協会が負担する(必要なのは入学費・寮費・学校費用だけ)という素晴らしい条件のもとでサッカーに専念できる環境です。
全国から選手が集まってくるので当然厳しいセレクションを勝ち抜かなけれなりませんが、プロサッカー選手を目指すなら、非常に魅力的な選択となることでしょう。
◎完全な両立を保証してくれるシステムなどない
いくつか中高一貫の形を紹介させていただきましたが、やはり、スポーツと勉強を高いレベルで両立させる学校・システムはないと思っていいと思います。
どの進路にも一長一短は当然あるし、経済的な負担も大きくなるパターンも多い。
どの道に進んでも結局本人の意識・努力次第という当たり前の意見に行きついてしまいますが、その中でも個性や目的に合わせたベストな環境を家族で探っていくことになります。
J下部組織に進めたとしても、一般の公立高校に入学するように指導されることが多いと思うので、やはり最強なのはJユースクラブ+公立トップ校でしょうかね(笑)
色々な情報を調べたり、勉強したりしていますが、私の地方ではサッカーの強い中高一貫校は少なく、特に学力面を考えるとベストな選択とは言えないのが現状です。
私立高校でも、上位大学を目指す学科になるとサッカー部に所属できないシステムがほとんどなのを見ても、いかに高いレベルでの文武両道が難しいかお分かりになるかと思います。
プロ選手という本当に一握りの可能性にかけて勝負すること自体が貴重な経験になることは間違いありませんが、現実を見据えて安全志向的な考えになるのも親としての当然の気持ちでしょう。
高校進学時もまた難しい選択に迫られますが、高校3年間もしっかり勉強をするという大前提のもと、子供の希望をできるだけ叶える進学先を探して、モチベーションを保ったまま高校受験に向かえる高校が見つかれば素晴らしいですね。
ではまた(^^)/